音源を用意しました。なお音色切り替えにはRJM MsterMindを使用しています。
・1-1.アルペジオ(音切れあり)
ディレイの音切れはありますが、この程度であればそれほど気にならないかもしれません。
・1-2.アルペジオ(音切れなし)
歪みからクリーンに切り替わったときに歪みのディレイが残るため、場合によっては邪魔に感じるかもしれません。
・2-1.リード(音切れあり)
ディレイがスパっと切れるので非常に不自然です。
・2-2.リード(音切れなし)
ディレイが残るため自然な切り替えになります。
このように総合的には「音切れのない音色切り替え」が良いと思いますが、ポイントはSPILLOVERと切り替え先のプリセットの設定です。
・SPILLOVER
Axe-Fx II本体のGLOBALメニューからSPILLOVERの項目へ。デフォルトはOFF(図1)となっているようで、音切れのある状態です。
ここでDELAY、REVERB、BOTHのいずれかを選択します。

(図1)
・切り替え先のプリセット
例えばリード(図2)でディレイとリバーブを使い、切り替え先のバッキング(図3)ではリバーブのみを使う場合を考えます。

(図2)

(図3)
バッキングのプリセットにもリードと同じ設定のディレイとリバーブを配置し、ディレイをBypassします。
切り替え時に残すエフェクトは切り替え先に依存するので、特にディレイタイムを揃えることに注意します。Axe Edit上でエフェクトブロックごとコピー&ペーストができます。
これで音切れのない音色切り替えができます。
以上、「音切れのない音色切り替え」でした。
これにていったん「Axe-Fx II report」は終了となります。
ありがとうございました!
#1「Fractal Audio Systems Axe-Fx II Demonstration」
まず前回作ったレイアウト(図1)では、中音(FX Loop以降)の信号がAxe-Fx IIのパワーアンプシミュレーターと、ギターアンプ(中音モニター)のパワーアンプと二重に通る問題がありました。

(図1)
外音の信号にのみパワーアンプを配置できればいいのですが、Axe-Fx IIはプリアンプとパワーアンプが独立していません。アンプブロックの中にプリアンプとパワーアンプの項目があります。実機でいうとヘッドアンプのイメージですね。
そこでまずアンプの直前で外音(上段)と中音(下段)に信号を分岐します(図2)。

(図2)
また中音(下段)にもアンプとエフェクトを同様に配置し(キャビネットを外す)、最後にFX Loopを配置します。
そして中音(下段)はギターアンプ(モニター)のパワーアンプを使用するため、Axe-Fx IIのアンプブロックのSAG値を0に設定し、パワーアンプシミュレートをOffにします。
またSAG値を任意の値に設定し、パワーアンプシミュレートを活かすことも可能です。
これでパワーアンプを二重に通ることが防げました。ただAxe-Fx IIは1つのプリセットに配置できる同種のブロックは基本的に2個までなので、コーラス等の複数掛けはできなくなります。
プリアンプ、パワーアンプを独立したブロックとして配置できるようになると良いですね。
なお中音の信号は舞台上のギターアンプのリターンに接続するのが一般的だと思いますが、利便性を考えてリターンではなくあえてインプットに接続し、ギターアンプのヴォリュームやイコライザーを活かすというのもありです。
その他には独立したパワーアンプからキャビネットという方法もあります。個人的にはFRYETTE PS-2が気になっています。
以上、#5「パワーアンプ」でした。
次回、#6「音切れのない音色切り替え」に続きます。
キャビネットを何処に配置するかが関係します。
・空間系エフェクトの前(図1)

(図1)
外音はそのまま会場のPAへライン出力ですが、問題は中音です。
中音は舞台上のギターアンプ(中音モニター)のリターン(またはインプット)に入力することが基本となりますが、空間系エフェクト以降で中音用に信号を分岐させると、キャビネットシミュレーターをすでに通った音がギターアンプのキャビネットから出力されるので、キャビネットを二重に通ることになります。
なお分岐にはFX Loopを配置します。これ以降の信号はAxe-Fx IIのOUTPUT2(FX SEND)から出力されます。
・空間系エフェクトの後(図2)

(図2)
まず外音は同じくPAへライン出力します。
次に空間系エフェクトとキャビネットの間で中音用に信号を分岐させます。キャビネットを二重に通ることが防げました。
さてこれで中音と外音が適切に設定できたと思いきや、実は1つ問題があります。
図2の中音(FX Loop以降)の信号がAxe-Fx IIのパワーアンプシミュレーターと、ギターアンプ(中音モニター)のパワーアンプと二重に通ることです。
これの対処については次の記事で解説します。
以上、#4「中音と外音」でした。
次回、#5「パワーアンプ」に続きます。
・空間系エフェクトの前(図1)

(図1)
まずアンプ→キャビネット(モノラル)でドライを作り、その後に空間系エフェクトを配置します。DAW上でBusでエフェクト処理するイメージです。
・空間系エフェクトの後(図2)

(図2)
アンプ→空間系エフェクトでウェットを含めた音を作り、その後にキャビネット(ステレオ)を配置します。実機を使ったシステムのイメージです。
以上、#3「キャビネットは何処に配置する?」でした。
次回、#4「中音と外音」に続きます。
接続についてはシリアル(直列)とパラレル(並列)の2種類がありますが、空間系エフェクトについてはパラレルが基本となります。
シリアルの場合、ドライ音が変化してしまうからです。
まず図1がシリアルです。

(図1)
ディレイ音等(ウェット音)を上げるためにはMixを上げるのですが、最大は100%なのでウェット音を上げるほどドライ音が下がってしまいます。空間系エフェクトをつなぐほどこの問題が出てきます。
またはシリアルの場合は空間系エフェクトのLevelでドライとウェットを合わせた音量を調整できますが、やはり空間系エフェクトをつなぐほどLevelをその都度調整することになり、ドライとウエットのバランス調整が困難になります。
一方図2がパラレルです。

(図2)
まずエフェクトのMixは100%に固定します。信号を分岐することでドライ音とは独立してエフェクトのLevelを調整することができます。
またBypass ModeをMute Fx Inにすること。これをしないと信号が分岐しているので、エフェクトをミュートしたときにドライ音が二重に通過することになり音量が上がってしまいます。
特に実機でシリアルの場合はドライとウエットのバランス調整問題の他に、アンプ後のアナログ信号がエフェクトに入りデジタルに変換されることで、ドライ音が劣化する問題を防ぐ意味もあり、ミキサーを介したパラレルが導入されました。
そのためにシステムが巨大化する問題もありました。
Axe-Fx II内でアンプからエフェクトまで全て処理する場合はシリアルでもアナログ→デジタルの変換による音質劣化はありませんが、前述のドライとウエットのバランス調整問題がありますので、パラレルが推奨されます。
実機の場合はアンプ、エフェクト、ミキサーと最低でも3台必要だったものが、Axe-Fx IIのみ1台で完結できるのは大きな利点です。
以上、#2「空間系エフェクトの接続と設定」でした。
次回、#3「キャビネットは何処に配置する?」に続きます。